オンライン診療で処方箋原本なしでもOK?制度変更と対応方法を徹底解説

オンライン処方薬の比較と購入ガイド

オンライン診療とは?|基本の流れと目的

スマホで受ける“新しい診察のカタチ”

オンライン診療とは、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの通信機器を利用して、医師と患者がインターネットを通じて行う非対面の診療のことを指します。近年では、「遠隔診療」と呼ばれることもありましたが、現在では「オンライン診療」が一般的な名称となっています。

対面での診察と異なり、自宅や職場などから医療を受けられるのが最大の特長です。特に、高齢者や育児中の方、仕事で時間の確保が難しい方、または感染症流行時の外出を避けたい方にとって、オンライン診療は大きなメリットがあります。

日本では、2018年に厚生労働省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を発表し、制度として本格的に運用がスタートしました。その後、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、より多くの医療機関でオンライン診療が導入されるようになり、2020年には規制緩和が行われるなど、制度整備も急速に進められています。


オンライン診療の基本的な流れ

オンライン診療の流れは、医療機関ごとに細かい違いはあるものの、一般的には以下のような手順で行われます。

  1. 予約

    • 医療機関の専用アプリやウェブサイトから予約を行います。

    • 保険証や本人確認書類のアップロードが必要な場合もあります。

  2. 問診・ビデオ通話による診察

    • ビデオ通話で医師の診察を受けます。

    • 症状や既往歴、アレルギーの有無などをヒアリング。

  3. 診断・処方

    • 診察結果に応じて、必要な処方が行われます。

    • この段階で、処方箋が発行されることになります。

  4. 服薬指導・薬の受け取り

    • オンライン服薬指導を受け、自宅に薬が届くケースが一般的です。

    • もしくは最寄りの薬局で薬を受け取ることも可能です。


処方箋のやり取りはどうする?原本なしでも問題ない?

オンライン診療で診察が完了した後、薬が必要な患者には「処方箋」が発行されます。従来、処方箋は紙の原本を患者に直接手渡す必要がありましたが、オンライン診療の場合はそうもいきません。ここで重要になるのが、「オンライン 診療 処方箋 原本 なし」という考え方です。

2022年9月30日に厚生労働省が通知した事務連絡(医薬・生活衛生局 総務課)では、オンライン診療後の処方箋の取り扱いについて以下のように定められています。

  • 処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載

  • 患者の同意を得たうえで、医療機関が薬局へFAXやメールで処方箋情報を送付

  • 原本は患者に渡さず、薬局に郵送する

つまり、患者が処方箋原本を所持する必要がない運用が制度として認められているのです。この改正により、よりスムーズで安全な医薬品の受け渡しが可能になりました。

なお、処方箋のFAX送信や原本の薬局宛送付に関する詳細は、厚生労働省が公表している以下の文書で確認できます。

👉 出典:厚生労働省 事務連絡(令和4年9月30日)


なぜ今、オンライン診療が注目されるのか?

オンライン診療がこれほどまでに注目を集めている背景には、以下のような社会的要因があります。

  • コロナ禍による非接触ニーズの高まり

  • 高齢化社会の進展と通院困難者の増加

  • 医師不足や地域医療格差の解消ニーズ

  • 働く世代の時間的制約への対応

  • マイナンバーカードを活用した電子処方箋の運用開始

これらを受けて、政府は「デジタル田園都市国家構想」などの政策の中でオンライン診療の普及を推進しており、2023年には電子処方箋の本格運用も開始されました。原本が不要な診療スタイルは、紙ベースの医療業務を効率化し、ミスの削減や患者満足度の向上にもつながります。


オンライン診療は誰でも使えるの?

オンライン診療は、再診だけでなく初診でも利用可能です。ただし、症状や処方薬の種類によっては対面診療が推奨されるケースもあるため、医師の判断のもとで適切に利用される必要があります。

また、オンライン診療を受けるには以下の条件が整っている必要があります。

  • 安定したインターネット環境

  • スマートフォン・PCなどの端末

  • プライバシーが確保された場所

  • 保険証や本人確認書類の提示(アプリ上)

これらの環境が整っていれば、病院に行かずに診察・処方・薬の受け取りまで完了するという、新たな医療体験が可能になります。

処方箋原本なしでも大丈夫?最新の取り扱いルール

原本を患者に渡さないオンライン診療の運用が制度化

オンライン診療で薬を処方する際、「処方箋の原本はどうするの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。これまで、診察後に発行された処方箋は紙で印刷され、患者本人が直接薬局に持ち込むのが原則でした。しかし、オンライン診療では対面でのやり取りがないため、原本を患者に手渡すことができません

このような課題に対応するため、厚生労働省は令和4年9月30日付で「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」を改定し、原本を患者に渡さない運用を正式に制度化しました。

出典:
👉 厚生労働省|令和4年9月30日付 事務連絡(PDF)


医療機関に求められる具体的対応

厚生労働省の通知によれば、オンライン診療後に薬を処方する場合、以下の3つの対応を医療機関が行うことが求められます。

① 備考欄に「オンライン対応」と明記

処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載することで、薬局側がFAXやメールで受け取った処方箋情報を、一時的に正式な処方箋として取り扱うことが可能になります。

なお、旧制度では「オンライン服薬指導希望」と記載することが求められていましたが、令和4年の改定により表記は簡略化されています。

② 診療録への薬局名の記載

医師は、処方箋情報の送付先となる薬局名を診療録に明記する必要があります。これにより、処方箋のやり取りに関する情報が後からでも追跡可能となり、患者安全の確保に寄与します。

③ 原本は薬局に郵送し、患者には渡さない

最大のポイントは、処方箋の原本は患者に渡さず、薬局に直接送付するという点です。これは、対面診療・オンライン診療を問わず適用され、薬の安全な受け渡しと不正利用の防止を目的としています。


薬局が行うべき対応とは?

処方箋原本が届くまでの間、薬局ではFAXやメールで送られた処方箋情報に基づき調剤を行うことが可能です。この扱いは、薬剤師法第23条~27条および医薬品医療機器等法(薬機法)第49条に基づいて正式に認められています。

ポイントまとめ:

  • 医療機関からFAX等で送られてきた処方箋は、暫定的に処方箋として有効

  • 原本到着後、FAXと原本を照合・保管

  • 原本は、レセプト請求に必要な証憑として保存

この流れにより、患者は一切処方箋を扱うことなく薬を受け取ることができるという、非常にスムーズな仕組みが実現しています。


原本を渡さないのはなぜ?背景と目的を解説

従来の医療制度では、「原本を持参する=本人確認の一環」として捉えられていました。しかし、オンライン診療では本人確認や同意取得が別の方法で行われるため、原本の物理的な受け渡しが不要になってきたのです。

さらに、以下のようなリスクもあります。

  • 紛失・破損による処方箋の無効化

  • 他人に処方箋が渡ることによる不正使用

  • 郵送ミスによる個人情報漏えい

これらのリスクを回避するために、医療機関から直接薬局へ原本を送付する運用が定着しつつあります。


例外的なケースでも原本なしで対応可能

厚労省の通知では、以下のようなイレギュラーなケースについても、原本なしの運用が認められています

  • オンライン服薬指導を予定していたが、薬剤師の判断または患者希望で対面に切り替えた場合

  • オンライン診療後すぐに処方箋を手交できず、その後対面で服薬指導を行う場合

このような場合でも、「医療機関が患者に原本を渡さず、薬局に直接郵送する」という基本運用を維持すれば問題ありません。


医療機関と薬局の連携が鍵

この制度を円滑に運用するためには、医療機関と薬局の連携が不可欠です。事前にFAX受信体制の有無や原本到着タイミングの調整を行うなど、スムーズなやり取りが患者の満足度に直結します。

また、医療機関・薬局の双方で処方箋の電子管理が進めば、電子処方箋との相性も抜群です。今後の完全ペーパーレス化を見据え、医療機関にはシステム対応の準備が求められます。


結論|原本なしでも法的に問題なし。制度に沿って対応を

「オンライン診療 処方箋 原本 なし」は、2022年以降の制度変更により明確に合法な運用として確立されました。医療機関が処方箋をFAXで薬局に送付し、原本を別途郵送するというプロセスを正しく踏んでいれば、患者が処方箋を持たずに薬を受け取ることができます。

さらに、電子処方箋の普及により、「原本」という考え方そのものが将来的にはなくなっていく可能性もあります。患者・医療機関・薬局が安心して診療を受け、薬を受け取れるよう、制度の理解と実務への反映が今後のカギとなるでしょう。

電子処方箋とオンライン診療の親和性

紙に頼らない診療と調剤がいよいよ現実に

オンライン診療の拡大に伴い、いま注目されているのが「電子処方箋」です。これまでの診療では、紙の処方箋原本を患者が持参して薬局に届けることが必須でした。しかし、オンライン診療ではその流れが物理的に難しく、制度上も「処方箋 原本 なし」の運用が拡大しています。

その中で、処方箋自体を電子化し、医療機関と薬局間でデジタルに連携する仕組みが注目されており、2023年1月には日本全国で電子処方箋の本格運用が開始されました。政府はマイナンバーカードの活用やデジタル庁主導のインフラ整備を通じて、医療の電子化を国家戦略として推進しています。


電子処方箋とは?|仕組みと流れを解説

電子処方箋とは、紙ではなくデジタルデータとして発行される処方箋のことです。医療機関が診療後に電子処方箋を発行し、その内容は「電子処方箋管理サービス」に登録されます。患者には処方箋引換番号が発行され、薬局ではその番号をもとに処方情報を確認して調剤・服薬指導を行います。

電子処方箋の基本的な流れ

  1. オンライン診療で医師が処方を決定

  2. 電子処方箋管理サービスに処方データを登録

  3. 患者に処方箋引換番号が発行される

  4. 患者は薬局に番号を提示

  5. 薬局がデータを取得し、調剤・服薬指導

  6. 調剤結果を電子的に記録・保存

この一連の流れにより、紙の原本を一切介さず、診療から薬の受け取りまで完結させることが可能です。

👉 参考:厚生労働省|電子処方箋の概要


オンライン診療と相性が良い3つの理由

① 原本の送付が不要になる

オンライン診療では、医療機関がFAXや郵送で薬局に処方箋原本を送る必要があり、業務の手間や郵送遅延のリスクが課題でした。電子処方箋を導入すれば、これらのプロセスがすべてオンライン上で完結し、原本の物理的なやり取りは一切不要になります。

② 処方・調剤のミス防止

紙の処方箋は、書き間違いや読み間違いによる調剤ミスのリスクがゼロではありません。電子処方箋では、医師が処方する段階であらかじめ登録されている医薬品情報から選択して入力するため、記載ミスや読解ミスのリスクを大幅に低減できます。

③ 患者の利便性が向上

患者は「処方箋引換番号」さえ控えておけば、最寄りの薬局で薬を受け取ることが可能です。スマホで番号を表示するだけで調剤が受けられるため、紛失や持ち運びの心配もありません。さらに、処方から調剤、薬の受け取りまですべて自宅で完結することも可能です。


医療機関が電子処方箋を導入するメリット

✅ 医師・スタッフの業務効率化

電子処方箋により、処方箋の印刷・郵送・ファイリングなどの業務が削減され、事務スタッフや看護師の業務負担も軽減されます。

✅ 疑義照会の減少

薬剤名や用法用量の記載ミスがなくなることで、薬局から医療機関への問い合わせ(疑義照会)件数も削減され、業務がスムーズになります。

✅ レセプト作成や保存の効率化

調剤記録や処方記録も電子化されるため、レセプト請求作業や監査対応にも有利です。医療情報の一元管理にもつながります。


導入には何が必要?

電子処方箋の導入には、以下のような準備が必要です。

必要な準備 内容
オンライン資格確認の導入 マイナンバーカードや保険証での本人確認
電子署名機能のあるHPKIカードの取得 医師・薬剤師の電子認証用
電子処方箋管理ソフトの導入 処方・調剤・保存を一括管理
カードリーダー等の機器 マイナカード読み取り対応

なお、導入にあたっては医療機関単独ではなく、薬局やシステム提供事業者との連携が必要不可欠です。


今後の展望:紙の処方箋はなくなる?

現在は紙と電子の両方が併存していますが、将来的には電子処方箋への完全移行が見込まれています。厚労省も2030年までの完全電子化を視野に政策を進めており、「処方箋 原本 なし」が当たり前になる時代が訪れようとしています。

この流れを受け、オンライン診療を導入する医療機関にとって、電子処方箋の活用はもはや選択肢ではなく、“必須のインフラ”となる可能性があります。

薬局と医療機関の連携ポイント|実務的な注意点

原本なし運用を円滑にするには「連携」が命

オンライン診療において、処方箋の原本を患者に渡さず、医療機関から薬局へ直接送付する運用が制度化されたことは、業務効率化の大きな一歩です。しかし、その制度が現場で円滑に機能するかどうかは、医療機関と薬局との連携体制にかかっていると言っても過言ではありません。

特に、オンライン診療では「FAX送信→原本郵送→薬の調剤→服薬指導→交付」という複数のステップが同時並行で進行するため、双方での認識のズレや対応遅れがトラブルの原因になりかねません。

ここでは、制度に準拠したうえで、現場で求められる実務的な連携ポイントと注意事項を紹介します。


1. 診療録と処方箋に「薬局名」を明記

厚生労働省の令和4年通知によると、医師は処方箋情報を送る際、送付先の薬局名を診療録に記載することが義務とされています。また、処方箋の備考欄には「オンライン対応」と明記することで、薬局側はFAX処方箋を正式な処方箋とみなして調剤を行うことができます。

✅ ポイント

  • 診療録:送付先薬局名を記録

  • 処方箋:備考欄に「オンライン対応」と記載

  • 電話番号も任意で記載しておくと薬局とのやり取りが円滑


2. FAX送信後の「到着確認」をルール化

FAX送信は、送信ログが残るとはいえ「到着したかどうか」は相手の確認に依存します。そこで、FAX送信後に薬局へ電話で確認を取る、またはメールでの受信通知を義務化するなど、送信ミスの早期発見につながるルール作りが必要です。

例:

  • 「FAX後に確認電話を必ず1本入れる」

  • 「薬局からの受信確認メールを受けて記録を残す」

この確認作業を怠ると、処方箋が届いていなかったことに気づかず、患者の服薬が遅れるなどのリスクが発生します。


3. 原本の郵送タイミングは「翌日まで」が理想

オンライン診療後に医療機関が原本を郵送するタイミングは、原則として翌日までに発送するのが理想です。なぜなら、薬局側はFAX処方箋のみで調剤は可能ですが、レセプト請求には紙の原本の到着が必要だからです。

一般的なスケジュール例:

  • 診療当日:FAX送信

  • 翌営業日:原本郵送(レターパックや速達など)

  • 翌月5日:薬局が原本を保管していることが望ましい

発送遅延があると、薬局側が調剤内容を請求できず、金銭的損失や業務負担に直結します。医療機関側は「発送履歴の管理」や「発送状況の共有」も含めた体制構築が必要です。


4. 万が一のトラブル時は「記録」の確認が命綱

FAX未着・原本紛失・二重処方のリスクを最小限に抑えるには、証拠となる記録の残存性が重要です。

双方で以下のようなデータを保管することを推奨します。

担当機関 保管すべき記録例
医療機関 FAX送信記録、発送伝票、診療録
薬局 受信履歴、FAX受信文書、調剤記録

紙でのやり取りがなくなるからこそ、“見える化された業務”の仕組みを整備することがリスクマネジメントの鍵になります。


5. オンライン服薬指導の導入有無を事前に確認

患者が「オンライン服薬指導」を希望する場合、薬局側がその機能に対応していることが必要です。ところが、全ての薬局がオンライン服薬指導に対応しているわけではありません。

そのため、患者が希望する薬局がオンライン対応可能かどうかを事前に確認するフローを設けておくことが重要です。

例:

  • 医療機関で薬局選定時に「オンライン対応可否リスト」を活用

  • 対応していない薬局が選ばれた場合、別の薬局提案を行う


6. 電子処方箋対応薬局との連携で次世代対応を

電子処方箋の導入が進む今後、医療機関と薬局は「デジタル連携を前提とした関係」へとシフトしていきます。電子処方箋であれば、FAXや原本郵送のプロセス自体が不要になり、データ登録と患者番号提示だけで調剤が可能になります。

今後の運用を見据えて、電子処方箋対応済みの薬局とのネットワーク構築を進めることで、より効率的かつミスのない診療・調剤体制が構築できます。

👉 参考:
厚生労働省|電子処方箋導入ガイド


まとめ|「処方箋原本なし」でも安全に薬を届けるために

処方箋の原本を患者に渡さず、FAXや電子データで処方箋を薬局に共有する――この仕組みは、制度上問題なく、むしろ現代の医療にふさわしい効率的な運用方法です。ただし、トラブルを避け、患者に確実に薬を届けるには、医療機関と薬局の連携体制の構築が不可欠です。

FAX送信の確認、原本発送のタイミング管理、薬局対応状況の事前チェック、そして記録保管の徹底。これらの小さな積み重ねが、「オンライン診療 処方箋 原本 なし」運用の成功に直結します。

まとめ|原本なし運用と今後の方向性

処方箋「原本なし」の運用はすでに合法で実用段階に

オンライン診療の普及に伴い、従来の医療の常識であった「処方箋原本は患者に手渡すもの」という前提が大きく変わりつつあります。厚生労働省が令和4年9月30日に発出した事務連絡により、医療機関が処方箋原本を患者に渡さず、直接薬局へ送付する運用が制度として認められたことで、「オンライン診療 処方箋 原本 なし」という仕組みが正式に実現しました。

この制度変更により、オンライン診療後の処方もスムーズに実施できるようになり、患者の利便性や安全性が大きく向上しています。

出典:
👉 厚生労働省「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」


原本なしのメリットは“患者・医療者双方”にある

この新たな制度運用は、患者だけでなく医療機関・薬局にとっても多くのメリットがあります。以下のように、原本を介さない運用は現場の負担軽減と医療サービスの質向上に直結しています。

患者側のメリット

  • 病院に行かずに薬が受け取れる

  • 処方箋の紛失・持参忘れのリスクがゼロ

  • 郵送や転送の手間が省ける

医療機関のメリット

  • 原本管理の業務削減

  • 郵送の手配・手渡し対応が不要

  • 調剤薬局との連携が明確化される

薬局側のメリット

  • FAX処方箋を元に速やかに調剤が可能

  • 原本とFAXの照合により記録保全が確実

  • 電子処方箋との連携による将来展望が広がる

このように、「処方箋原本なし」の運用は、今や特例ではなく“標準化の流れ”にあります。


電子処方箋の普及が「原本」の概念そのものを変える

さらに、この原本不要の流れを加速させているのが、2023年から全国で本格運用が始まった「電子処方箋」の存在です。電子処方箋は、マイナンバーカードなどで本人確認されたうえで、医療機関→電子処方箋管理サービス→薬局というデジタル連携によって処方から調剤までが完結する仕組みです。

これにより、そもそも紙の処方箋そのものが不要になるため、将来的には**「原本をどう取り扱うか?」という議論自体がなくなる**ことが予想されます。

出典:
👉 政府広報オンライン「電子処方箋とは?」


今後求められるのは“制度理解”と“システム対応”

制度が整ったとはいえ、現場の医療機関や薬局がこれらの流れに適応するには、一定の準備と理解が必要です。特に以下の点に注意しながら、各施設ごとの運用方針を明確にしておくことが重要です。

✅ 医療機関側

  • オンライン診療対応のツール整備(ビデオ通話、問診フォーム)

  • 処方箋のFAX送信・原本郵送の手順確立

  • 電子処方箋システムの導入(HPKIカード、資格確認対応など)

✅ 薬局側

  • FAX処方箋の受け取り・管理体制の確立

  • 原本到着の追跡フローと記録の整備

  • 電子処方箋の読み取り・調剤対応のシステム化

また、患者向けにも「原本は受け取らない仕組みであること」をしっかりと説明し、誤解を防ぐための情報発信や同意取得の工夫が求められます。


法制度と技術の両面で「非対面医療」は常識になる

厚労省は、「デジタル田園都市国家構想」や医療DX推進施策の一環として、オンライン診療と電子処方箋を組み合わせた非対面型医療モデルの全国展開を進めています。2025年以降、医療機関の新規開業や運営基準の中で、こうしたデジタル連携の導入が“前提”とされる可能性も高まっています。

つまり、「処方箋 原本 なし」は、単なる選択肢ではなく、今後の医療の標準運用として定着する道を歩んでいるのです。


結論|オンライン診療における「原本なし」は制度上問題なし。今こそ対応準備を

本記事を通じて、「オンライン診療 処方箋 原本 なし」というテーマが、厚生労働省の正式な制度変更により完全に合法な運用であることをご理解いただけたと思います。そして今後は、電子処方箋を含めたより高度なデジタル医療連携の中で、処方箋に関する取り扱いルールそのものが進化していくでしょう。

医療機関や薬局としては、この変化を単なる業務負担と捉えるのではなく、患者満足度と業務効率を同時に高める好機と捉え、制度と技術の両面で対応を進めていくことが求められています。

今後も厚労省などの最新情報をこまめにチェックしつつ、安全かつ効率的なオンライン医療の実現に向けた体制整備を進めていきましょう。

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