知恵袋で多い「防風通聖散どれがいい?」という疑問の背景
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、肥満症や便秘、むくみなどに用いられる代表的な漢方薬のひとつです。日本では長年にわたり「体にたまった余分なものを取り除き、体質を整える」という目的で処方されてきました。そのため、ダイエットや生活習慣の改善に興味を持つ人々の間で広く知られるようになり、近年ではインターネット掲示板やQ&Aサイト、特に「Yahoo!知恵袋」でも頻繁に取り上げられています。実際に検索すると、「防風通聖散はどれが効くの?」「市販のものと処方のものは違うの?」「副作用は大丈夫?」といった疑問が数多く見られます。
なぜこれほど多くの人が「どれがいいのか」と迷うのでしょうか。その背景にはいくつかの理由が考えられます。
1. 市販薬と処方薬の違いがわかりにくい
まず大きな要因として、市販されている防風通聖散と医師が処方する防風通聖散が存在する点があります。ツムラやクラシエといったメーカーからは、同じ「防風通聖散エキス顆粒」という名前でドラッグストアや通販で入手できる製品が販売されています。一方で、医療機関を受診すれば、保険適用の処方薬として同じ処方の薬が処方されることもあります。
見た目のパッケージや名称が似ているため、「市販のものと処方のものは効果が違うの?」という疑問が生じやすく、知恵袋でも頻繁にこの点が質問されています。
2. 製薬会社ごとの違いがある
もうひとつの混乱の要因は、同じ「防風通聖散」という名前でも、メーカーによって成分の抽出方法や配合量に微妙な違いがあることです。ツムラ製とクラシエ製では、エキスの抽出工程や使用する生薬の産地などに差があり、体感に違いが出る人もいます。このため、知恵袋では「どのメーカーがいいですか?」という質問も多く見られます。
ただし、医学的な視点から見ると、防風通聖散は日本薬局方に準拠して処方されるため、大枠の効果や目的は同じとされています。したがって「どの会社のものが極端に良い・悪い」というよりは、「自分の体質に合うかどうか」の方が重要な判断材料になります。
3. 効果への期待と実際の差
知恵袋では「防風通聖散を飲めば痩せるのか」というダイエット関連の質問が特に多く見られます。防風通聖散は肥満症や便秘に対して保険適用のある漢方薬ですが、必ずしもすべての人に体重減少の効果が現れるわけではありません。
2022年に発表されたシステマティックレビュー(PLOS ONE誌)では、防風通聖散を用いた臨床試験の結果がまとめられています。その中では、一定の条件においてBMIの改善が見られたとする報告もありましたが、すべての参加者に同じ効果が出るわけではないことが強調されています。つまり「痩せ薬」というイメージで使用すると、期待と現実の差から「効かなかった」と感じてしまうケースもあるのです。
4. 副作用への不安
知恵袋で目立つもうひとつのポイントは「副作用が怖い」という声です。防風通聖散は自然由来の生薬を組み合わせた処方薬ですが、まったくリスクがないわけではありません。実際に薬剤性肺炎の症例報告もあり、使用に際しては注意が必要です。
ただし、これはあくまでまれなケースであり、多くの場合は便通の変化や胃腸症状など軽度の副作用にとどまります。それでも「市販で買えるのだから安全だろう」と自己判断で長期間服用することは推奨されません。知恵袋でも「飲んで大丈夫ですか?」という質問が多く寄せられるのは、この点に起因しています。
5. 個人の体質や生活習慣で結果が異なる
最後に、防風通聖散は体質改善を目的とする漢方薬であるため、効果の出方は個人差が大きいという特徴があります。同じ薬を服用しても「便秘が改善した」という人もいれば「全く変化を感じなかった」という人もいます。生活習慣や食事内容、持病の有無などが結果に影響を及ぼすため、知恵袋で「効いた・効かなかった」と意見が分かれるのは自然なことと言えるでしょう。
まとめ
知恵袋で「防風通聖散はどれがいい?」という質問が多い背景には、市販薬と処方薬の違い、メーカーごとの特色、効果の個人差、副作用への不安といった要素が複雑に絡んでいます。インターネット上の口コミや体験談は参考になりますが、体質に合うかどうかを最終的に判断するのは医師や薬剤師といった専門家です。したがって、もし服用を検討しているのであれば「どれがいいか」を知恵袋で探すのではなく、一度専門家に相談するのが望ましいと言えるでしょう。
臨床研究から見る防風通聖散の作用|肥満や高血圧への効果
防風通聖散は「肥満症に対する漢方薬」として広く知られていますが、その効果については単なる口コミや体験談ではなく、臨床研究によっても検証が行われています。特に、肥満や高血圧といった生活習慣病に関連する症状に対する作用が注目されています。本項では、国内外で発表された臨床試験や動物実験を基に、防風通聖散がどのように作用するのかを整理します。
1. 肥満症に対する効果
2022年にPLOS ONE誌に掲載されたシステマティックレビューとメタアナリシスでは、防風通聖散を用いた複数の臨床試験データが統合的に解析されました。その結果、一定の条件においてBMI(体格指数)が有意に改善することが確認されています。これは、防風通聖散が肥満傾向のある人に対して体重管理をサポートする可能性を示す重要なエビデンスです。
さらに、肥満症は単なる体重増加にとどまらず、高血圧、糖尿病、脂質異常症など多くの生活習慣病のリスク要因となります。そのため「体重を落とすこと」自体が医療上の価値を持ち、防風通聖散の活用が研究されています。
2. 高血圧患者への臨床試験
2015年に学術誌 Atherosclerosis に掲載された多施設共同ランダム化比較試験では、防風通聖散を肥満を伴う高血圧患者に投与し、その効果を検証しました。結果として、体重減少とともに血圧の改善も確認されており、特に内臓脂肪の減少が血圧コントロールに寄与した可能性が示されています。
この研究は「肥満」と「高血圧」を同時に抱える患者において、防風通聖散がどのように有効であるかを臨床レベルで示した貴重なデータといえます。知恵袋などでは「ダイエット目的で飲む人」が目立ちますが、医療現場では「生活習慣病の改善」を目的とした処方例も存在しているのです。
3. 腸内環境への作用
近年の研究では、防風通聖散が腸内細菌叢(マイクロバイオーム)に影響を与える可能性も報告されています。2020年の Scientific Reports の研究では、高脂肪食を与えたマウスに防風通聖散を投与したところ、腸内に「アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)」という善玉菌が増加しました。この菌は腸のバリア機能を強化し、炎症を抑制する働きがあることが知られています。
その結果、肥満だけでなく血糖値やインスリン抵抗性の改善が見られ、糖代謝の正常化に寄与する可能性が示されました。つまり、防風通聖散は単に「体重を減らす」だけでなく、「腸内環境を整え、代謝全般を改善する」という多面的な効果を持つ可能性があるのです。
4. 脂質代謝と肝臓への影響
また、防風通聖散は肝臓に蓄積する脂肪にも作用することが動物実験で確認されています。2017年の Chinese Medicine 誌に掲載された研究では、高脂肪食を与えたマウスに防風通聖散を投与したところ、体重や内臓脂肪が減少しただけでなく、肝臓に沈着した脂肪も減少したことが報告されています。
さらに、2024年に Journal of Natural Medicines に発表された報告では、防風通聖散が肝内の異所性脂肪(本来脂肪がたまるべきでない場所に蓄積する脂肪)の改善にも寄与する可能性が示唆されました。これは中高年層で問題となる脂肪肝やメタボリックシンドロームの予防・改善に役立つ可能性を示す重要な研究です。
5. 知恵袋での疑問との関連
知恵袋では「どの製品が効くのか」「市販と処方のどちらがいいのか」という質問が多いですが、臨床研究の観点から言えることは「効果は存在するが、個人差が大きい」という点です。BMIの改善や血圧低下、腸内環境の変化といった効果が報告されていますが、それはあくまで特定条件の被験者や動物モデルにおける結果であり、万人に同じ結果が保証されるわけではありません。
そのため「どれがいいか」という単純な比較ではなく、自分の体質・症状・生活習慣に合っているかを医師や薬剤師に確認することが最も重要だといえます。
まとめ
防風通聖散は、肥満や高血圧といった生活習慣病に対して臨床的な効果が報告されている漢方薬です。体重減少、血圧改善、腸内環境や脂質代謝の正常化といった多方面の作用が示されており、単なる「痩せ薬」という位置づけを超えて、生活習慣病対策の一助となる可能性があります。
ただし、すべての人に同じように効くわけではなく、副作用のリスクや体質との相性もあるため、自己判断ではなく専門家の指導を受けることが推奨されます。知恵袋での疑問に答えるとすれば、「どれがいいか」ではなく「どのように活用すべきか」が本質的な問いになるといえるでしょう。
市販の防風通聖散|代表的な製品と違いの比較
防風通聖散は、医師による処方だけでなく、市販薬としても入手可能な漢方薬です。そのため「どの製品を選べばよいのか」「メーカーによって効果が違うのか」といった疑問が、知恵袋などのQ&Aサイトでも数多く寄せられています。ここでは、代表的な市販製品を挙げ、それぞれの特徴や違いを整理しながら比較していきます。
1. ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用/一般用)
ツムラは日本国内で最も広く漢方薬を提供しているメーカーのひとつです。ツムラの防風通聖散は、医療機関で処方される医療用漢方製剤として長年用いられてきました。その処方内容は「日本薬局方」に準拠しており、漢方医学的な理論に基づいた生薬配合が行われています。
また、ツムラは処方用だけでなく、一般向けの防風通聖散エキス顆粒(第2類医薬品)も販売しており、ドラッグストアや通販で購入できます。ツムラ製の特徴は、安定した品質管理と長年の医療現場での実績です。特に「病院で処方されたものと同じメーカーのものを使いたい」という安心感を求める人には人気があります。
2. クラシエ防風通聖散エキス顆粒
クラシエも大手漢方薬メーカーであり、防風通聖散を市販用医薬品として提供しています。クラシエ製品は「飲みやすさ」と「入手しやすさ」に強みがあり、価格帯も比較的手頃です。そのため、初めて防風通聖散を試す人や、継続して購入したい人に選ばれるケースが多いといえます。
ただし、ツムラ製とクラシエ製では、原料となる生薬の産地やエキスの抽出方法にわずかな違いがあります。このため「ツムラでは合わなかったがクラシエでは調子がよい」というケースや、その逆の体験談も報告されています。知恵袋の書き込みにも「どちらが効くのか」といった質問が多いですが、基本的には処方内容は同じであり、体質との相性によって体感が異なると考えるのが自然です。
3. 小林製薬「ナイシトール」シリーズ
市販薬として最も有名なブランドのひとつが小林製薬の「ナイシトール」シリーズです。テレビCMや雑誌広告などでも広く宣伝されており、「お腹の脂肪を落とす」というキャッチコピーで認知度を高めています。
ナイシトールは、防風通聖散をベースとした処方を採用しており、ラインナップには「ナイシトールZ」「ナイシトール85」など複数のバリエーションがあります。これらは含有する生薬エキス量や対象年齢、錠剤サイズなどが異なり、利用者の生活習慣や服薬のしやすさに応じて選べるようになっています。
一方で、広告イメージから「飲めば簡単に痩せる薬」と誤解されやすいのも事実です。実際には、食生活や運動と併せて活用することが前提であり、単独で大幅な減量を保証するものではありません。知恵袋でも「ナイシトールは効くのか?」という質問が繰り返し投稿されており、ユーザーの関心の高さがうかがえます。
4. 他メーカーの防風通聖散
上記の大手以外にも、さまざまな製薬会社が防風通聖散を製造・販売しています。たとえば、コタロー、日医工、ジェネリックメーカー各社が提供する製品もあり、医療用として処方されることもあります。
これらの製品も日本薬局方に基づいた処方内容を採用しており、基本的な構成生薬に違いはありません。ただし、生薬の調達ルートや製造工程の違いから、製品ごとの使用感や副作用の出やすさに差があると感じる人もいます。このため「どれが効くのか」というより、「自分に合うものを見つける」ことが重要になります。
5. 市販薬と処方薬の比較ポイント
市販薬と処方薬の違いを整理すると、以下のようなポイントが挙げられます。
-
価格:処方薬は保険が適用されるため、自己負担は3割程度。市販薬は全額自己負担だが、受診の手間がない。
-
用量・規格:処方薬は医師の判断で適切な量が決められる。市販薬はパッケージに従って服用する。
-
相談窓口:処方薬は医師・薬剤師に相談できる安心感がある。市販薬は薬局の薬剤師に確認可能。
-
製品選び:市販薬はツムラ・クラシエ・小林製薬など多様なラインナップから選べる。
知恵袋で「どれがいいのか」と議論される背景には、こうした違いが複雑に絡んでいます。
まとめ
市販の防風通聖散には、ツムラ・クラシエ・小林製薬など複数の代表的な製品があります。処方そのものは基本的に同じですが、メーカーごとの製造方法やブランド戦略により、体感や使いやすさに違いが出る場合があります。
知恵袋でよくある「どれがいい?」という質問に対して答えるならば、「どれも基本的な処方は同じ。ただし、自分の体質や生活習慣に合う製品を選ぶことが重要」 というのが正解に近いでしょう。特に初めて使用する場合は、市販薬の情報だけで判断せず、医師や薬剤師に相談することでより安全かつ効果的に利用できます。
副作用や注意点|知恵袋では語られにくいリスク情報
防風通聖散は「自然由来の漢方薬だから安心」というイメージを持たれることが多く、知恵袋の相談でも「副作用は大丈夫ですか?」「市販薬なら安全ですか?」といった質問が頻繁に見られます。しかし、医薬品である以上、副作用や注意すべき点が存在することは明確です。本項では、実際に報告されている副作用やリスクを整理し、知恵袋ではあまり触れられない重要な情報を解説します。
1. 消化器系の副作用
最もよく報告されるのは、消化器系への影響です。防風通聖散には瀉下作用(便通を促す作用)があるため、服用すると下痢や軟便、腹痛を伴うことがあります。特に便秘傾向が強くない人が服用した場合、体質に合わずに下痢が長引くこともあります。
また、胃の不快感、吐き気、食欲不振といった症状も報告されており、体質的に胃腸が弱い人は注意が必要です。知恵袋でも「飲んだらお腹を壊した」という相談が多く見られますが、これは一般的な副作用のひとつであり、必ずしも深刻な異常ではありません。
2. 肝機能障害のリスク
一部の症例では、防風通聖散の服用により肝機能障害が生じることが報告されています。漢方薬は複数の生薬を組み合わせているため、どの成分が原因となるかを特定するのは難しいですが、長期的な服用や多量摂取が肝臓に負担をかける可能性があります。
特にアルコールを常用する人や、もともと肝機能に問題がある人は注意が必要です。定期的に血液検査を受ける、あるいは服用中に倦怠感や黄疸のような症状が出た場合には、すぐに医師に相談すべきです。
3. 薬剤性肺炎などの重篤な副作用
まれではありますが、防風通聖散によって薬剤性肺炎を発症した例も報告されています。日本呼吸器学会の症例報告では、防風通聖散服用中に間質性肺炎を発症した患者が確認されており、注意喚起がなされています。
薬剤性肺炎は咳や息切れ、発熱など風邪に似た症状から始まることがあり、見逃されやすいのが特徴です。知恵袋では「咳が出るのは副作用ですか?」といった質問が散見されますが、重篤な副作用の可能性を想定していないケースも多いため、情報の不足が懸念されます。
4. 他の薬との飲み合わせ
防風通聖散は漢方薬とはいえ、複数の生薬が含まれており、他の薬との相互作用に注意が必要です。たとえば、利尿剤や下剤を服用している人が防風通聖散を併用すると、脱水症状や電解質異常が起こる可能性があります。また、降圧薬や糖尿病薬を服用している場合も、作用が強まりすぎることがあり得ます。
知恵袋の質問には「薬を飲んでいるけど一緒に使って大丈夫?」という投稿が多くありますが、これは自己判断では解決できない問題です。医師や薬剤師に必ず相談する必要があります。
5. 高齢者や基礎疾患を持つ人の注意点
防風通聖散は「肥満体質で体力のある人」に適した処方とされています。そのため、高齢者や体力が低下している人、持病を抱えている人には適さない場合があります。
例えば、虚弱体質の高齢者が使用すると、下痢や脱水、体力低下を招くリスクが高まります。また、腎機能や心疾患に問題を抱えている人も慎重に使用すべきとされています。知恵袋では「親に飲ませても大丈夫か」という質問が散見されますが、これは特に注意すべきケースです。
6. 長期服用のリスク
防風通聖散を長期間にわたって服用することにも注意が必要です。短期的には便通改善やむくみ解消に役立つ場合がありますが、長期的に服用すると肝機能や腎機能への影響が積み重なるリスクがあります。
臨床研究の多くは数週間から数か月の投与を対象にしていますが、数年以上継続して服用した場合の安全性については十分にデータがありません。そのため、長期服用を希望する場合は、必ず定期的に医師の診察を受けるべきです。
7. 「自然=安全」という誤解
知恵袋の投稿を見ていると「漢方だから副作用はない」という誤解が根強いことがわかります。しかし、自然由来の成分であっても医薬品である以上、副作用の可能性は避けられません。
実際、漢方薬全般で薬物性肝障害や間質性肺炎といった副作用報告は存在しており、防風通聖散も例外ではありません。重要なのは「自然だから安心」と思い込むのではなく、科学的なエビデンスに基づいて安全に使用することです。
まとめ
防風通聖散には消化器症状をはじめ、肝機能障害やまれに薬剤性肺炎といった副作用のリスクがあります。また、他の薬との飲み合わせや高齢者・基礎疾患を持つ人の使用には特に注意が必要です。
知恵袋では「副作用はありますか?」といったシンプルな質問が多い一方で、具体的なリスクや重篤な副作用については十分に共有されていません。したがって、防風通聖散を検討する際は、口コミや体験談だけでなく、臨床研究や症例報告といった医学的情報も確認することが重要です。
最終的には「自分にとって安全かどうか」を判断する必要があり、そのためには医師・薬剤師への相談が欠かせません。安心して活用するためにも、自己判断ではなく専門家の助言を得ながら使用する姿勢が求められます。
どれを選ぶ?防風通聖散の選び方と医師に相談すべきポイント
「防風通聖散はどれがいいのか?」という疑問は、知恵袋などのQ&Aサイトで最も多いテーマのひとつです。ツムラやクラシエ、小林製薬のナイシトールなど、多くの製品が出回っているため、どれを選べばよいのか迷うのは自然なことです。しかし、単純に「どのメーカーが一番効く」と断定することはできません。ここでは、防風通聖散を選ぶ際の考え方と、医師に相談すべき重要なポイントを整理していきます。
1. 効果より「相性」を重視する
防風通聖散は、肥満や便秘、むくみなどに対して効果が期待される漢方薬ですが、その効き方には大きな個人差があります。理由は、漢方薬が「証」と呼ばれる体質や症状の全体像に基づいて処方されるからです。
例えば、同じ肥満でも「食欲旺盛で便秘がち」「体力はあるがむくみやすい」といった人には防風通聖散が適しますが、「虚弱で疲れやすい」「冷え性が強い」といったタイプには合わないことがあります。したがって、どの製品を選ぶか以前に、自分の体質に適しているかどうかを見極めることが重要です。
2. 市販薬か処方薬かを選ぶ
次に考えるべきは「市販薬を選ぶか、医師に処方してもらうか」です。
-
市販薬
ツムラ・クラシエ・小林製薬など、ドラッグストアや通販で手軽に入手できるのがメリットです。価格は全額自己負担になりますが、医師の受診が不要なため利便性が高いです。 -
処方薬
医療機関を受診すれば、同じ防風通聖散を保険適用で処方してもらえます。自己負担は3割程度で済むため、長期的に使用する場合はコスト面で有利です。また、医師の診断を受けた上で処方されるため、体質に合わない薬を避けられる安心感があります。
知恵袋では「市販と処方は同じですか?」という質問が多く見られますが、基本的な成分は同じでも、管理体制やサポート体制が異なる点を理解しておく必要があります。
3. 代表的な製品の特徴を知る
どのメーカーを選ぶか迷ったときには、それぞれの特徴を把握しておくと参考になります。
-
ツムラ防風通聖散:医療機関での処方実績が多く、信頼性が高い。品質管理も厳格。
-
クラシエ防風通聖散:価格が手頃で入手しやすい。飲みやすさを重視した設計。
-
小林製薬ナイシトールシリーズ:広告での認知度が高く、続けやすいラインナップが揃っている。
どれも「日本薬局方」に基づく処方であるため、本質的な違いは大きくありません。ただし、使用感や価格、入手のしやすさが異なるため、自分の生活スタイルに合ったものを選ぶのが賢明です。
4. 副作用やリスクも比較材料にする
防風通聖散は副作用が少ないとされていますが、消化器症状(下痢・腹痛)、肝機能障害、まれに薬剤性肺炎といったリスクも報告されています。市販薬のパッケージには副作用情報が記載されていますが、詳しい説明は医師の診察や薬剤師との相談を通じて得るのが確実です。
知恵袋では「副作用はありますか?」という質問に対し、「特に問題なかった」という回答が目立ちますが、これはあくまで一部の体験談にすぎません。安心して使用するためには、口コミではなく医学的な情報に基づいて判断することが求められます。
5. 医師に相談すべきタイミング
防風通聖散を選ぶとき、以下のようなケースでは必ず医師に相談することをおすすめします。
-
長期間服用を考えている場合:肝機能や腎機能に影響が出る可能性があるため、定期的な検査が必要です。
-
基礎疾患がある場合:高血圧、糖尿病、心疾患、肝疾患などを持つ人は、薬との相互作用に注意が必要です。
-
高齢者の場合:体力が低下していると副作用が強く出やすくなります。
-
他の薬を服用している場合:利尿剤、降圧薬、下剤などとの併用にはリスクがあります。
これらの条件に当てはまる人が、知恵袋の情報だけを頼りに自己判断で防風通聖散を選ぶのは危険です。必ず専門家に相談し、適切な指導を受けた上で使用するようにしましょう。
6. 「どれがいい?」から「どう使うか」へ
知恵袋での質問は「どの製品が一番効くか」という視点に偏りがちですが、実際には「どれをどう使うか」という視点のほうが重要です。体質に合っていなければ、どのメーカーの製品を選んでも効果を感じられない可能性があります。
そのため、まずは医師に相談して「自分に防風通聖散が適しているか」を判断してもらい、その上で市販薬か処方薬かを選ぶのが理想的な流れです。口コミや知恵袋の回答はあくまで参考程度にとどめ、自分の体に合った選択をすることが、効果的かつ安全な利用につながります。
まとめ
防風通聖散を選ぶときは「どのメーカーがいいか」よりも、「自分の体質に合っているか」「市販薬と処方薬のどちらが適しているか」を考えることが大切です。市販薬は手軽さ、処方薬は安心感というメリットがありますが、どちらにせよ副作用や相互作用のリスクは存在します。
したがって、最も重要なのは「専門家に相談して適切に選ぶこと」です。知恵袋で情報を集めることは一助になりますが、最終的な判断は医師や薬剤師と共に行うのが安全で確実な方法です。
参考文献
-
Uneda K, Kawai Y, Yamada T, Kaneko A, Saito R, Chen L, Ishigami T, Namiki T, Mitsuma T
Japanese traditional Kampo medicine bofutsushosan improves body mass index in participants with obesity: A systematic review and meta-analysis (2022)
PLOS ONE
→ BMI(肥満指数)改善の臨床試験を複数まとめたメタ分析。安全性にも言及あり。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371%2Fjournal.pone.0266917 PLOS -
Azushima K, et al.
Effects of the oriental herbal medicine Bofu-tsusho-san in obesity hypertension: A multicenter, randomized, parallel-group controlled trial (2015)
Atherosclerosis
→ 肥満と高血圧をもつ被験者での試験で、防風通聖散の併用療法の効果を評価。血圧プロファイルにも着目。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0021915015000593 サイエンスダイレクト+1 -
Fujisaka S, et al.
Bofutsushosan improves gut barrier function with a bloom of Akkermansia muciniphila and improves glucose metabolism in mice with diet-induced obesity (2020)
Scientific Reports
→ 動物モデルで、腸内細菌叢の変化、腸バリア機能改善、炎症軽減などの基礎的メカニズムが示されている。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-62506-w Nature -
Kobayashi S, Kawasaki Y, Takahashi T, Maeno H, Nomura M, et al.
Mechanisms for the anti-obesity actions of bofutsushosan in high-fat diet-fed obese mice (2017)
Chinese Medicine
→ 高脂肪食マウスを使った研究。体重・内臓脂肪・血清脂質・インスリン抵抗性等の改善を報告。メカニズムにも言及。
https://cmjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13020-017-0129-x BioMed Central -
Saeki T, et al.
Ameliorative effect of bofutsushosan extract on visceral, subcutaneous, and ectopic fats in liver, etc. (2024)
Journal of Natural Medicines ほか(Springer)
→ 年齢によって蓄積する肝内異所性脂肪にも効果ありという最近の報告。肥満・代謝症候群関連。
https://link.springer.com/article/10.1007/s11418-024-01803-4 スプリンガーリンク -
松島秀和, 防風通聖散による薬剤性肺炎の1例
→ 実際に防風通聖散使用中に間質性肺炎を起こした症例報告。副作用例としての警鐘。
https://is.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/040120955j.pdf is.jrs.or.jp